2011年春、3月11日に突然マグニチュード9の東日本大震災が東北地方太平洋沖で発生し、大津波が東北地方沿岸部を飲み込み地獄の様相を呈した。また、福島原発の事故による長期にわたる困難が、日本のエネルギー政策の在り方を揺さぶっている。地球規模では気候変動の影響と考えられる毎夏の洪水や地震も頻発している。
さらに2020年春以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が襲来し、これに対し人類は公衆衛生的対応とワクチンのみで事態を切り抜けようとしている。特に、不幸にも感染した多くの精神疾患患者たちがスティグマ(露骨な差別)により十分な医療を受けられずに無念の死を迎えた。
今、日本はまるで災害と疫病に呪われたかのような様相を呈している。また、ロシアによるウクライナ侵攻は、生物化学兵器や核兵器の使用が心配されていて、21世紀の国際秩序は崩壊の危機に瀕していて、恐怖が全世界に拡散している。
元来、世界は不条理に満ちていて不安と抑うつがまとわりつく。かつて、サルトル、キエルケゴール,ハイデッカーらの思想家が主題とした「実存」の不安は人間の根源的な在り方と言えよう。
南アフリカの哲学者デヴィット・ベネター氏の著書『生まれてこない方が良かった』に描かれた状況を次世代に引き継がせないためにも、医療関係者は現状を真剣に捉え、人間の不安や痛みを取り除く方法を考え行動しなければならない。
「こころとからだの痛み研究会』は1988年に創立された『痛みと漢方シンポジウム』に遡る。1989年に「難治疼痛症例ワークショップ」が独立し、当研究会の前身となるが、1998年に閉会となった。翌年に「こころとからだの痛み研究会」と名前を変えて復活して現在に至っている。
英国のシシリー・ソンダース氏は緩和ケア領域でTotal Painを提唱し、「痛み」を肉体的、心理的、社会的、霊的に分類して、「痛み」に「苦しみ(Suffering)」の要素があると考えた。一方、当研究会では「痛み」を東洋医学の基本概念である「心身一如」として全人的に捉える。そして啓発・普及活動を行うことを目的としている。
会員は基本的には個人参加。団体参加も可。医学、医療、薬学、福祉、介護、教育などの各関係者や一般の方も含めて、できるだけ広範な参加を呼びかける。
年2回の学術集会・総会を開催し、学術集会では講演、ワークショップ、シンポジウム、事例検討、芸術アトラクション(プロの演奏家の生演奏会など)を通じて、会員が自由闊達に議論し、最先端の知見を得て互いの勉強・研究に役立てるものとする。総会では会の運営、テーマの検討、事務事項の報告等を行う。なお、緊急テーマ発生時には臨時集会の開催も行う。
共催団体(会員)・賛助団体(会員)
本邦の医療保険制度におけるジェネリック医薬品の推奨導入と外資系医薬資本の積極的進出は、日本での新しい医療品の創薬開発意欲を著しく削いでいる。このような状況下であるからこそ、本邦での活発な創薬へ向けて外資系医薬資本との正しい協調や、本邦での新薬開発体制の再構築が求められる。
本会では会員として共催団体、賛助団体の参加を積極的に募り、活発な議論を喚起する場を提供する。その結果、創薬に繋がればと願っている。